それ歳神様が帰っちゃうかも!しめ縄の由来と正しい飾り方を紹介

お正月になると、玄関にしめ縄が飾られている光景を見かけますよね。車のナンバープレートの上につけている人もいます。

一方、大きいしめ縄が神社に飾られているのを見たことがある人も多いでしょう。伊勢神宮の特大しめ縄は有名ですよね。

門松などの正月飾りと並んで、日本では古くからしめ縄をお正月に飾る風習があります。

でも、そもそもしめ縄ってどういう意味があるか知っていますか?なんとなく飾っている人も多いと思います。

しめ縄はただの装飾品ではありません。実は深い意味があるのです。

この記事ではしめ縄の意味、由来などをまとめています。古くから日本人の風習に根付いていることがわかります。

なんとなく飾っていた人も、ぜひ参考にしてみてください。

由来

しめ縄が始まったきっかけは、『日本神話』に書かれています。

その昔、太陽の神である天照大神は、弟の須佐之雄命が悪さをすることに怒り、岩戸に隠れてしまいました。

そのため、空も真っ暗になってしまったのです。困った人々は天照大神に出てきてもらうために、踊りました。

その音に気が付いた天照大神が岩戸から出てくると、再び入ってしまわないように岩戸をしめ縄でしばったといわれています。

それが、しめ縄の起源とされています。

 漢字の由来

しめ縄は漢字で「注連縄」と書きます。

「注連」という言葉は、中国にあった風習からきています。

中国では、死んだ人が再び家に入ってくることがないよう、家の入口に水で清めた縄を連ねて張っておく風習がありました。

日本にもあったしめ縄と、中国のこの習慣で使われていた縄が似ていたため、日本に「注連」という文字が定着するようになりました。

 他の漢字表記

しめ縄の表記には、「注連縄」以外に3つあります。

標縄

万葉集にしめ縄をさすものが、「標」という言葉で出てくることに由来します。

当時のしめ縄には主に3つの役割がありました。

  • ある場所への立ち入りを禁止するために張り巡らせる
  • 道しるべとして、木の枝などに縛り付ける
  • 俗世と神聖な領域を分ける

例えば、万葉集にはこのような歌があります。

「山守の ありける知らに その山に 標結ひ立てて 結ひの恥しつ」

現代語訳にすると、「すでにこの山には番人がいるとも知らないで、自分の山にしようと標縄を張って恥をかいてしまいました」

この場合の「標」は、場所への立ち入り禁止を示すためのしめ縄と解釈されます。

このように、場所を区切る、という意味合いでしめ縄は使われていました。それが、現在の神社で、世俗と神の領域を分けるしめ縄の由来となったようです。

七五三縄

この呼び名には諸説あります。

説1)

古代中国で七、五、三などの奇数は、良いことを表す陽数といわれていました。一方、偶数は悪いことを表す陰数とされていました。

そのため、七、五、三という陽数によって、神社など神様の領域に陰が入らないようにするという意味があります。

説2)

しめ縄には、〆の子という藁の装飾品がついています。この〆の子がしめ縄に3本、5本、7本と垂れ下がっているため、「七五三縄」と呼ばれるようになりました。

説3)

説3)神社を建てる際、柱に縄をかけます。このとき3回巻いた後、逆に5回巻き、さらに逆に7回巻きます。この巻き方だと、建設が終わったときに縄がほどきやすいとされています。

この巻く数から、三五七縄と表記されるようになったという説です。

〆縄

「〆」という字は、「占める」「閉める」という意味合いがあります。

しめ縄も特定の場所を占有する、他を締め出すという役割があるので、「〆」という漢字があてがわれる由来となりました

しめ縄の意味と飾り方

しめ縄は、神様がいる場所に飾ることで、その場所が世俗領域と神域の境目であることを示しています。

神社などにしめ縄が張り巡らされているのは、そこが神様のいる場所であるからです。

一方、お正月に一般家庭でしめ縄が飾られるのはなぜでしょうか。

それは新年の神様である、歳神様をお迎えするためです。もともと、お正月は歳神様を招き、良い新年となるよう願う行事です。

しめ縄を飾ることで「我が家は神様を迎えるのにふさわしい場所」であることを示しているのです。

そのため、神様が入ってきやすい玄関に飾るのが一般的です。

ただし、最近ではお守りがわりのようにも使われていますよね。車のナンバープレートの上につけている人も少なくないようです。

 飾る時期

家庭でお正月を迎えるにあたってしめ縄を飾り始めるのは、12月28日ごろが一般的です。29日は9が「苦」を連想し、縁起が悪いとされているのでNG。

また31日に飾り始める「一夜飾り」もNG。たった1日だけしか飾らないのは神様に失礼だからです。

一方、こんな理由もあります。

実は、歳神様がやってくるのは12月31日の早朝といわれています。つまり、31日のお昼や夜に飾っても遅い、ということ。

しめ縄がないうちなら、歳神様も「神様を迎える気がないんだな」と思って帰ってしまうでしょう。せっかく来てもらっても、家に入ってくれないのは残念ですよね。その家は1年間、神様がいないということになります。

そのため、しめ縄は28日ごろに飾るのが一般的とされているのです。

ちなみに、喪中のときはしめ縄をはじめ、正月飾りは一切飾りません。

しめ縄の種類

一口にしめ縄といっても、いくつか種類があります。 伝統的なしめ縄を紹介しましょう。

ごぼう注連(しめ)

一般的に神棚に飾られるしめ縄です。

縄の左が神聖、右が俗性とされています。そのため、神様から見たときに太い方は左を向くように飾られます。

つまり、人から見たときは、太い方が右側に向かっているのが一般的です。

ごぼう注連と前垂れ

上記のごぼう注連に飾りがついたものです。主に西日本で飾られることが多いしめ縄です。

太いほうを向かって右側に飾ります。

ただし、伊勢神宮のある三重県伊勢地方では、向かって左側にかざります。また、お正月に関係なく1年中飾るそうです。

飾りは、「裏白(うらじろ)」「紙垂(しで)」「橙」など。飾りの詳しい種類と意味に関しては、「しめ飾りの意味」で紹介します。

玉飾り

主に東日本で飾られることが多いしめ縄です。

しめ縄を輪っかにし、「裏白(うらじろ)」「紙垂(しで)」「橙」などの飾りをつけています。近年では市販されているしめ縄に梅、椿、バラなどがついて華やかなものも多くなっていますよね。

輪飾り

伝統的なしめ縄を簡略化したタイプです。

細いしめ縄を輪っか状にし、「紙垂(しで)」という飾りをつけたもの。

 伊勢地方のしめ縄

しめ縄にはいくつか種類がありますが、三重県伊勢地方のしめ縄はやや独特です。

材料は藁、植物などで作られています。

藁を稲穂が出る前に刈り取り、大きく三つ編みにします。そこに裏白(うらじろ)橙、ユズリハ(ユズリハ科の常緑高木)、木札などで飾り付けます。

この中で木札が伊勢地方に伝わるしめ縄の特徴を表しています。檜で作られた板には「蘇民将来子孫之門」と書かれています。

この言葉はある物語に由来しています。

その昔、伊勢の地を旅した須佐之男命という神様がいました。

泊まるところがなく困り、将来兄弟に助けを求めます。しかし裕福な弟は、断ってしまいます。

一方、貧しい兄の蘇民将来は承諾し、もてなしてくれました。これを喜んだ須佐之男命は、一宿の恩返しとして、茅の輪をあげました。「後の世で疫病が流行っても、蘇民将来の子孫と言ってその茅の輪を腰に付ければ、難を逃れるであろう」と言ったといいます。

以来、蘇民家は疫病が流行っても命を落とすことなく、代々栄えたといいます。

この話をもとに、無病息災の願いを込めて札に記し、しめ縄につけているのです。

しめ飾りの意味

しめ飾りはいくつかあり、それぞれに意味や願いが込められています。

裏白(うらじろ)

ラジロ科の常緑性の植物。葉がしだれる様から、「シダ」ともいわれます。これを「歯垂る」、さらに「齢垂る」にかけて長寿を連想させています。

「裏表なく1年が過ごせますように」「長生きできますように」という願いが込められています。

紙垂(しで)

特殊な断ち方をした紙。神聖な場所であることを象徴する役割があります。

正月飾りに使われる柑橘類は「橙(だいだい)」といいます。「代々繁栄しますように」という願いが込められています。

ゆずり葉

ユズリハ科の常緑高木の植物です。聖なる葉とされ、「子孫が絶えませんように」という願いが込められています。

処分法

しめ縄は、松の内を過ぎたら処分するのが一般的です。

「松の内」はもともと「門松を飾っている期間」を意味し、今では門松以外にもしめ縄、破魔矢をしまう期間でもあります。

「松の内」は関東と関西で異なり、関東では1月1日~1月7日、関西の一部では1月1日~1月11日とされています。

役目を終えたしめ縄は15日の左義長(さぎちょう)で焼きます。左義長とは、通称どんど焼きのこと。1月15日に行う火祭りで、お正月に区切りをつける行事とされていました。

燃えるゴミとしても処分はできますが、塩や清酒で清め、紙に包みましょう。

 最後に

しめ縄についてまとめました。参考になりましたか?

お祝いで何気なく飾っているものでも、その意味や由来は意外と知らないものですよね。

古より続く習慣というものには、何かしら意味があるもの。なんとなく飾るよりも、その意味をしっかり分かっているほうが、行事もより豊かになります。

お正月にはしっかりと飾って、歳神様を招いてくださいね。

提供・はな物語

こちらの記事は、プリザーブドフラワー専門店・はな物語の提供でお送りしました。

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しめ縄に関する情報集めの一助になれば幸いです。

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