「はな物語」のお役立ちコラム

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かなり実用的!秋の七草は人々の生活に根付いた草花だった

作成日:2016.03.29

最終更新日:2016年3月29日

カテゴリー:花と草木のお役立ち情報

「秋の七草を挙げてください」と言われたら、全部言える人はきっと多くないですよね。そもそも秋の七草があることを知らない人もいるはず。

正解は、ハギ、ススキ、キキョウ、ナデシコ、クズ、フジバカマ、オミナエシ。
どれも日本に古くから存在する植物です。特にハギやススキ、キキョウは秋を連想させる花の代表ですよね。

でも、秋の七草の知名度はかなり低め。春の七草は七草粥を食べるという習慣があるため、年間行事の中にある程度は根付いています。

では、秋の七草にはどのような意味が込められているのでしょうか?この記事では、秋の七草の由来と、それぞれの花の特色を紹介しましょう。

そこには、秋の七草が薬や日用品の材料として、人々の生活に根付いていた背景があります。

さらに、昭和に2回、新しく秋の七草を制定する試みがありました。時代によって人気の「新・秋の七草」が新聞社によって選ばれています。

秋の風情を楽しむ参考にしてみてくださいね。

1章 由来と歴史

その歴史は奈良時代にさかのぼります。

1-1、始まりは万葉集の歌

秋の七草は、奈良時代貴族・山上憶良(やまのうえの おくら)が詠んだ歌が由来とされます。以下の2首を見てみましょう。

「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」(万葉集巻八一五三七)
(訳)秋の野に咲いている花を、指を折って数えてみれば、七種類の花がある

「萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 姫部志 また藤袴 朝貌の花」(万葉集巻八一五三八)
(訳)萩の花、尾花(オバナ=ススキ)、葛花(クズ)、瞿麦(ナデシコ)の花、姫部志(オミナエシ)、藤袴(フジバカマ)、朝貌(アサガオ)

憶良は1首目で秋に咲く草花を数えて、2首目でその花の名前を挙げています。当時は季節の草花を歌に詠むことが多くありました。憶良がこの2首を詠んだことにより、上記の7つが秋を代表する草花として認知されるようになったのでしょう。

ただし気をつけたいのは、歌の中に出てくる花が現代の花とは一部異なる点です。
朝貌(アサガオ)はキキョウをさしているとされています。当時は朝に花が咲く花をまとめて「朝顔」と呼んでいたのです。

「朝顔」の由来に関しては、「朝顔の歴史 江戸っ子も熱狂させたその魅力をたどる」のコラムも参考にしてみてくださいね。
https://www.hanamonogatari.com/blog/1285/

漢字の表記はやや異なりますが、花は現代に伝わる秋の七草と同じですね。

でも、7つの花を見て「あれ?」と気が付く人もいるでしょう。この秋の七草に入っている花は、必ずしも秋に咲く花ばかりではないのです。

例えば、ナデシコは4月から、キキョウなら6月から開花します。「秋の花じゃない!」と思う人もいるでしょう。

ここにも現代と奈良時代の違いがあります。当時の暦で秋とは、現代の夏に該当します。また、現代とは気候も異なると推測されます。そのため、当時と現代で花の開花時期が異なっていたようです。

当時は、憶良が挙げた7つの花はすべて7~9月に咲いていたのかもしれませんね。

1-2、実用性の高い草花

秋の七草の大きな特徴は、薬用・食用・衣料用など、実用性の高い植物であることです。

例えば、ハギの根は煎じて飲むとめまいに効果があるといわれていました。キキョウはのどの薬として漢方に。

また、クズは解熱作用がある漢方、葛根として現代でも飲まれていますよね。その根はでんぷんを多量に含んでいるため、葛餅などのお菓子の材料にもなっています。

秋の七草は、春の七草のようにお粥にはしません。ただし、それぞれの草花は古から人々の生活に欠かせないものだったのです。

1-3、新・秋の七草

1935年、万葉の時代から伝わる秋の七草とは別に、新しく秋の七草を選ぼうという試みがなされました。提案したのは毎日新聞社の前身である、東京日々新聞社です。

選考役の7人は与謝野晶子や牧野富太郎、高浜虚子といった、当時の文壇などで活躍した小説家や歌人、学者など。

以下が、「新・秋の七草」とその選出者になります。

  • コスモス(菊池寛・作家)
  • オシロイバナ(与謝野晶子・作家)
  • シュウカイドウ(永井荷風・作家)
  • ハゲイトウ(長谷川時雨・作家)
  • キク(牧野富太郎・植物学者)
  • ヒガンバナ(斎藤茂吉・歌人)
  • イヌタデ(高浜虚子・俳人)

コスモスやキクはまさに現代の秋を連想させますね。

また、1980年には新たに秋の七草を選ぶ試みがありました。選んだのは植物学者の本田正次博士らです。

  • ホトトギス
  • ノギク
  • カルカヤ
  • ヒガンバナ
  • マツムシソウ
  • ワレモコウ
  • リンドウの花

時代によって花の人気が移り変わったり、気候によって従来咲いていた時期に咲かなくなった花もあるのかもしれません。秋の七草は、時代による花の開花時期や人気の変化を表しているのかもしれませんね。

2章 秋の七草

この章では、秋の七草を1つずつみていきましょう。

1章で述べたように、実用性の高い秋の七草。それぞれの特徴を知ることで、遠く万葉時代の生活が浮かんでくるかもしれません。

2-1、ハギ(萩)


ハギはマメ科の植物です。美しくも派手すぎない奥ゆかしさを持った花をつけます。まさに日本人が好みそうな花ですね。

栽培がしやすく、土地を豊かにするために植えられることもありました。
育ったハギは、屋根や壁の材料、染め物、お茶、家畜のエサ等々、様々な活用の仕方があり、実の粉は餅に混ぜて食べられました。これが「おはぎ」の由来です。

この萩という花、実は『万葉集』で一番多く詠まれた花でもあります。その数なんと141首も。2位は梅で110首。中国から伝わり、高い人気を誇っていた梅を抑えての1位です。

山上憶良が秋の七草の筆頭に挙げただけあり、かなり人気があったことがうかがえますね。人々はハギの花を頭に飾って楽しんでいたようです。

奈良時代以降も、工芸品や染め物、花札などでモチーフになり、長く、広く愛されてきました。

2-2、ススキ(薄)

別名「尾花」。動物(キツネとされる)の尻尾に見える垂れ下がった穂には、小さな花がたくさんついています。

非常に強い植物で、痩せた大地でもどんどん繁殖します。そんなススキは、なんと縄文時代から生活に役立てられてきました。

例えば、わらじ、すだれ、ほうきといった日用品。または家畜のエサや敷草、燃料など。
そして一番の代表格は、世界遺産に登録された白川郷の合掌造りの家に代表される、茅葺き屋根の材料。日本の原風景はススキが作り出していたのです。

現代では、ススキといえばお月見の飾りのイメージが一番強いのではないでしょうか。正式には1本だけススキを立てるのですが、華道の影響もあり、複数立てられることも多くなりました。

2-3、キキョウ(桔梗)

キキョウ科の植物です。『万葉集』では「アサガオ(朝貌)」と呼ばれています。

この「アサガオ」がどの花を指すのかについては諸説ありますが、有力なのがキキョウ説です。

若葉は食用、根は薬用として食されていました。根を干して粉末にしたものは桔梗根と呼ばれ、咳止めに効果があるとされます。

また、その美しい姿は家紋として図案化されていきました。本能寺の変を起こした明智光秀の家紋は水色桔梗紋。坂本龍馬は組合角の桔梗紋です。

2-4、ナデシコ(撫子)

ナデシコ科の植物です。北半球に生息し、その種類はおよそ300。日本には、もともとヒメハマナデシコとシナノナデシコの2種が自生しています。

「撫でる」とは「愛でる」という意味に近く、我が子を撫でるような気持ちにさせてくれる花、というのが名前の由来。可愛らしい姿をよく表した名前ですね。

ナデシコは鑑賞用の花というだけでなく、薬として服用されてきました。万葉の時代には種子栽培され、種は煎じて飲むとむくみが取れる漢方薬として服用されていました。

平安時代になると、中国からカラナデシコが伝来してきます。時を経て江戸時代になると、園芸文化が発達しました。その際、日本原産のナデシコとカラナデシコと区別するために、日本原産のナデシコを、大和ナデシコと呼ぶようになります。

大和ナデシコは一見すると繊細な印象を受けますが、実は生命力が強く、悪条件でも花を咲かせるんですよ。

2-5、クズ(葛)

マメ科で蔓性の植物です。葛餅、葛きりなどで聞き覚えのある人も多いであろうクズ。実は薬としてとても有能な植物なんですよ。

咳止め漢方薬として知られる葛根湯。これはクズの根を乾燥させた葛根(くずね)が主成分です。寒い時に飲まれる葛湯も、もちろんクズから作られます。

さらに、根はデンプン質が多く、飢饉など非常時の主食になってきました。苦しい時に助けてくれることから、花言葉も「治癒」です。

一方、繁茂すると、他の植物を圧倒してしまうほど強い繁殖力があります。そのため、しばし農作物に害をもたらす「厄介者」のような存在とみられることもあるようですね。

2-6、フジバカマ(藤袴)

中国原産で、奈良時代に伝わったとされます。当時は薬草として使われていました。

乾燥させると独特の香りを放ち、中国ではお風呂に入れたり、匂い袋に入れて持ち歩いたりするなど愛用されました。中国文化をよく知っていた歌人・菅原道真も、同じく入浴剤として楽しんでいたようです。

かつては関東より西の地方で見られましたが、環境の変化などで数が減少、環境省から順絶滅危惧種に指定されています。

2-7、オミナエシ(女郎花)

日当たりのよい低山地を好む多年草。別名、「チメグサ」「敗醤(はいしょう)」ともいいます。長く伸びた茎の先に、小さな小さな黄色い花をいくつも咲かせます。

『万葉集』で、オミナエシは女性に例えられています。鮮やかで美しいその姿を、当時の女性に重ねたのでしょう。

根には解毒作用や利尿作用があり、やはり薬として服用されてきました。

野草ではありますが、自生している数は減少傾向にあります。最近ではフラワーアレンジメントの材料として人気が高く、花屋でも切り花が売られるようになりました。

3章 秋の七草粥はあるの?

春の七草といえば、七草粥にして食べるのが一般的な楽しみ方。
時期がくれば、スーパーなどでセットにされて売り出されることもあります。

では秋の七草には粥があるのでしょうか。
今まで見てきたとおり、秋の七草をお粥にして食べる習慣などはありません。

しかし、葉や根を乾燥させて、生薬として食べられるものはあります。
葛根湯や葛湯はその中でも最も馴染み深いですよね。現代の日常生活の中でも、知らず知らず口にしているのかもしれませんよ。

4章 最後に

しばし「春の七草は食用、秋の七草は観賞用」といわれます。でも。秋の七草は春の七草よりも実用性が高く、人々の生活に根付いていたことがわかりますね。

現代において認知度が下がってしまったのは、1つ1つの草花の役割が昔ほどなくなったためでしょう。

ハギは屋根の材料にもなっていましたが、今では茅葺き屋根の家は作られていません。クズも葛餅などで親しまれていますが、葛自体の花を鑑賞する機会は多くないですよね。

ただ、控えめで奥ゆかしい花を秋の花としたことには、現代の日本にも息づく感性があります。

秋の七草をじっくり見つめ直すことで、より豊かな秋になりそうですね。

提供・はな物語

こちらの記事は、プリザーブドフラワー専門店・はな物語の提供でお送りしました。

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秋の七草の由来を調べる一助になれば幸いです。

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