ちゃんと意味がある! 春の七草の由来と七草粥の効能をご紹介

毎年、お正月ムードが落ち着いたころになると、「春の七草」という言葉をちらほら聞きませんか?七草粥とは、「春の七草」とされる7つの食材が入ったお粥のこと。

小さいころ、「セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ・春の七草」と暗唱して、なんとなく覚えている人も多いのではないでしょうか。

一方で、七草粥を食べる風習はややすたれてしまっています。時期になると、セットになった七草がスーパーなどで販売されていることもあります。ただ、行事として七草粥を毎年食べる、という人は多くないかもしれませんね。

若い人では、春の七草がどんな植物なのか知らない、という人もいるでしょう。

でも、古くから続くこの行事は、とても深い意義を持っているのです。

この記事では、春の七草の由来と七草粥の効能についてまとめています。
これを読めば春の七草の魅力に気づくきっかけになるはずです。七草粥は、実は栄養豊富な健康食なんですよ。

ぜひ、良き風習を取り入れてみてくださいね。

1章 春の七草と七草粥の由来

春の七草とは、1月7日の朝にお粥にして食される7つの植物をさします。また、そのお粥を七草粥と呼びます。

まずは、なぜこの風習が始まったのかを見ていきましょう。

1-1、始まりは中国

この風習の起源は古代中国にさかのぼります。
前漢(紀元前206~8年)の時代、新年に日にちを以下のように、動物や人に見立てた占いが行われていました。

  • 1月1日… 鶏
  • 1月2日… 犬
  • 1月3日… 猪
  • 1月4日… 羊
  • 1月5日… 牛
  • 1月6日… 馬
  • 1月7日… 人
  • 1月8日… 穀

唐の時代(618~907年)になると、人の日(1月7日)に七種菜羹(ななしゅさいのかん)
という7つの草や野菜を混ぜた汁物を食べる風習が始まりました。

体に良い食材をとることで、無病息災を願ったといいます。また、立身出世への願いも込められていたそうですよ。これは1月7日に昇進の取り決めを行っていたことに由来します。

1-2、日本への伝来

この風習は奈良時代に日本に伝わったといわれています。
当時、日本ではお正月に若菜を摘んで食べる「若菜摘み」という風習がありました。

光孝天皇(830~887年)はその風習を歌に詠んでいます。
「君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ」

現代語訳にすると、「あなたのために春の野原に出て若菜を摘んでいると、春だというのに着物の袖に雪が降ってきた」といったところでしょう。この歌は百人一首にも入っています。

また、1月15日には7種類の穀類をお粥にして食べる習慣もありました。穀類とは、米・粟・稗・黍・ミノ・胡麻・小豆です。

平安時代になると、中国の七種菜羹と若菜摘み、7つの穀類を食べる風習が結びつき、現代の「七草粥」の原型になったのです。

江戸時代になると、五節句の1つとなる「人日(じんじつ)の節句」が制定されました。
五節句とは、宮廷で行われていた1年の節目となる節句のお祝いをさし、他に「桃の節句」「端午の節句」「七夕の節句」「重陽の節句」があります。

この名前は、前述した中国の占いの「人の日」に由来します。
そのため、江戸幕府は人日の節句の日にちも1月7日としました。この節句が「七草の節句」とも呼ばれるのはそのためです。

この正式な制定により、人日の節句に七草粥を食べる風習が一般の人々にも定着するようなっていきました。

また、1月7日は「松の内」と呼ばれる期間の最終日にあたります。「松の内」とは1月1日~1月7日をさし、この間を一般的にお正月とします。

お正月はおいしいご馳走を食べる日が続きますよね。七草粥には疲れた胃を休ませる、という目的もあったのです。

2章 七草

この章では、七草の1つ1つの栄養価などを紹介します。

七草をすべて合わせると約12種類の薬膳効果があり、含まれるビタミン・ミネラルは約7種類です。

健胃効果・食欲増進・利尿作用・二日酔い解消・解熱・去痰・咳止め・気管支炎予防・扁桃腺炎予防・肝臓回復効果・そばかす予防・あかぎれ予防・心の安定効果などが期待されています。

食べ過ぎやすいお正月という時期、または冬という風邪の多い季節にはうってつけの食材というわけです。

また、なぜこの7つが「春の七草」となっているのかはさだかではありません。ただ、1つ1つにはとても縁起の良い意味が込められています。

2-1、 セリ

セリ(芹)は、別名シロネグサとも呼ばれるセリ科の植物です。競り合うように生えていることから、この名がつきました。

この名前に「競り勝つ」という意味をかけて、縁起物にされている食材です。

独特の香りが食欲を刺激する効果があり、しかも栄養価が高いのも特徴です。

血液をきれいに保ち、高血圧や動脈硬化の抑制にも作用します。さらには胃腸の調子を整えるという整腸効果も持っているという、まさにスーパー食材なのです。

ビタミンA、ビタミンC、カルシウム、リン、カリウムが含まれる食材なので、積極的に食べたいですね。あえ物やおひたしにしてもいいですよ。

2-2、ナズナ

ナズナ(薺)は、麦栽培の伝来とともに日本に伝わったとされる史前帰化植物です。

ナズナはぺんぺん草とも呼ばれています。花の下についている果物の形が、三味線のばち(弦楽器の弦をはじくための道具)に似ていることが、この呼び名に由来します。

よく道端に生えているので、「ただの雑草」と思っている人も多いはず。でも実は、「なでて汚れをはらう」とされる縁起の良い食材なんですよ。

古くから民間療法で用いられてきた植物でもあり、高血圧・解熱・便秘・利尿・解熱・止血作用に効果があるといわれています。

特にビタミンKが豊富に含まれ、骨粗しょう症の改善効果が期待されています。煎じた汁で洗眼すると目の充血や痛みを和らげる効果があるともされています。

2-3、ゴギョウ

ゴギョウ(御形)はハハコグサとも呼ばれるキク科の植物です。朝鮮半島から伝わったとされています。

「仏体」を表す縁起物とされています。

明治時代ごろまで草餅の食材として利用されていました。
茶にして飲むこともあり、咳止め・痰きり・喉の炎症・利尿・むくみに効果があるとされています。

2-4、ハコベラ

ハコベラ(繁縷)は、ハコベとも呼ばれるナデシコ科の植物です。

「繁栄がはびこる」として、縁起のよい植物とされています。

中国では古くから薬草として使われていました。
効能は七草の中でも多く、利尿作用・止血作用・鎮痛作用をはじめ、歯槽膿漏の予防薬として使用されてきた歴史があります。

ビタミンB群やビタミンC、カルシウム、カリウムに加え、カロテノイドやフラボノイド、サポニンが含まれる非常に栄養素の豊富な薬草です.

2-5、ホトケノザ

ホトケノザ(仏の座)は、正式名をコオニタビラコ(小鬼田平子)といい、キク科の植物です。

まさに名前から縁起物であることが伝わりますね。

効能として、健胃・整腸作用、高血圧予防などがあるとされています。
食べ方としては塩ゆでした後に流水にさらし、苦みなどを取り除いてから使用します。しょうゆの炒め物や天ぷら、山椒を効かせた佃煮にも調理されています。

また、シソ科でホトケノザという植物もありますが、これは全くの別ものです。キク科のホトケノザは黄色い花を咲かせるのに対し、シソ科のホトケノザはピンクの花を咲かせるので、見た目も異なります。

なお、シソ科のホトケノザは食べられません。

2-6、スズナ

スズナ(菘・鈴菜)の正式名はカブ(蕪)で、アブラナ科の植物です。

スズナは「神を呼ぶ鈴」として縁起物とされてきました。これは現在で一般的に食されているカブのことです。

古代中国やギリシャの史料にも登場し、古くから人々に食されていました。

カブは便秘・胃潰瘍・胃炎・風邪・骨粗鬆症・がんの予防に良いとされています。そのため、胃腸の調子が悪いときに食べられてきました。

根の部分と葉っぱの部分でそれぞれ効能を持っており、特に葉にはビタミンA、B1、B2、C、カルシウム、鉄、食物繊維が豊富に含まれています。七草粥を作るときは両方入れるとよいでしょう。

2-7、スズシロ

スズシロ(晴白・蘿蔔)は、現代では大根としておなじみの食材です。

その根は「汚れのない純白さ」を表しているとされ、スズシロと呼ばれるようになったとされます。

栄養素としては、ビタミンA、C、食物繊維、ジアスターゼ、アミラーゼ、フラボノイドが含まれ、根と葉両方に栄養が詰まっています。消化不良や二日酔い、頭痛、発熱、冷え性、胃炎、便秘の解消など他にも様々な効能が期待されています。

根の部分に特にジアスターゼが多く含まれ、食物の消化を促進してくれます。一方、葉にはビタミンやミネラルが多く含まれているため、両方とも七草粥に入れるといいですね。

3章 七草粥の効果

この章では、七草粥に関する情報を紹介します。

七草粥を食べる「人日の節句」は江戸時代に正式な行事と制定されたので、実は調理作法もしっかりあるんですよ。

また、2章で七草粥に入れる食材を紹介しましたが、これは地域によって入れるものが異なります。

意外と奥深い七草粥の世界をみてみましょう。

3-1、調理作法

七草粥は調理に関する際のルールも決まっています。

まず、七草を1月6日の夜に用意し、恵方の方角を向きながら包丁で細かく刻みます。

刻む際、まな板の上に7つの調理道具(薪・火箸・すりこぎ・杓子・おろし金・菜箸・火吹き竹)を置きます。

刻みながら七草囃子という歌を歌います。七草囃子とは「七草なずな 唐土(とうど)の鳥と 日本の鳥と 渡らぬ先に トントントン トントントン」という歌です。ただし、この歌は地域によって歌詞が異なるようです。

ちなみに唐土とは、当時の中国をさしています。

七草を刻む際は、1種類につき7回ずつたたき、合計49回たたいて刻むのがルールとされています。ただし、この回数も地域によって異なるようです。

お粥を作るだけといっても、とても細かい作法があったんですね。
このような作法を踏まえて七草粥を作ることで、人々は1年間の無病息災を祈っていました。

3-2、地域による違い

七草粥に使われる食材は、2章で紹介したものだけではありません。地域によっては手に入らない七草もあり、それを他の食材で代用しています。

例えば、東北地方ではゴボウや大根を入れたお粥がみられます。1月はまだ雪深く七草を摘めないため、他の食材で代用するようになったといわれています。

山形県では、1月7日に七草汁を食べる風習があります。これは納豆、こんにゃく、ゴボウ、油揚げなどを入れたもので、一般的に納豆汁と呼ばれています。お米は入れないので、お粥ではありません。

ただし、最上川(もがみがわ)流域では、独特の風習もあります。1月7日に握り飯を12個用意し、箕(み:木の川などで作られた農具。

穀物をふるいにかけるときに使用する)にのせて柳の箸を刺して飾ります。そのあと、握り飯を野菜や梅干しなどと一緒に煮込み、それを「七草粥」としています。

また、九州の一部地域では鶏肉を加えたり、四国では七草をお浸しにしたりして食べる地域もあります。

味付けも醤油、味噌、鰹節など地域によって異なり、かなりバリエーション豊富なのがわかりますね。

4章 最後に

春の七草の由来や、七草粥の効果などについて紹介しました。参考になりましたか?

風習ときくと、「根拠のない言い伝え」と思う人も少なくないかもしれませんね。でも長く続く風習というものは、何かしらの理由があるもの。

七草粥は、それぞれの食材に高い栄養素が含まれ、体によいことを昔の人々は知っていたのですね。まさに先人の知恵が詰まった健康食といえます。

体に優しい七草粥を食べて、健康的な1年を過ごしましょう。

提供・はな物語

こちらの記事は、プリザーブドフラワー専門店・はな物語の提供でお送りしました。

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春の七草や七草粥の由来を調べる一助になれば幸いです。

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